中国に駐在し、実際にECも手がけるエフカフェの高岡正人取締役が中国ECの状況をレポート(vol.3)

中国でのEC展開が難しいことは、これまで多くの日本事業者が進出しては撤退していることからもよくわかるだろう。
ただ、エフカフェで推し進めているtmallグローバルでは、これまでよりも、かなり有利な条件で日本企業が出店できるため、難易度も大きく下がっている。
とはいえ、失敗した日本企業の傷は深く、そうした企業が話し体験談として、現状とは異なった状況がいまだ信じられているケースも多々ある。
そうした誤解を今回取り上げていきたい。

中国本土でのECと越境型ECが混同されて話が進んでいることでおきた

先日、お客様とお話をしていてこのようなことをおっしゃっていた。

「高岡さんが先日講演なさったイベントで他にもいくつか講演を聞いたのですが、他の講演で中国のECってまだまだ規制が厳しすぎるとお話なさった方がいて、よくわからなくなりました。」

こういう言い方はあまり適切ではないかもしれないが、中国EC(越境EC含め)に関してはお客様が混乱するようなノイズがかなり発生している。
理由は簡単で、リアルな現状を知っている方が限られているからである。
特に、中国本土でのECと越境型のECが分けられず、混同されて話が進んでしまっていることが多い。
また、中国でのEC展開が難しいということを強調するために、一方的な見方で語られているケースも多々ある。

今回は現状の生のECを中国EC5つの誤解として、越境ECの角度から紹介していきたい。

誤解1:中国ECは規制が厳しい
真実1:越境型ECであればほとんどのものが販売可能

これはおそらく貿易時になかなか商品が通関できず大変だという話から来ていると思う。
たしかに、中国国内にいる日系メーカーの中にも日本で販売している約1割しか商品を中国国内で販売できていないという企業もある。

この状況を抜本的に変えたのがtmallグローバルなどの越境型ECである。
個配モデルで直接個人に販売することが可能であり、冷蔵、冷凍を除いたほぼすべての商品が販売できるのである。

誤解2:made in japanであれば認知度の低い商品の在庫であってもすぐに売れる
真実2:ある程度日本で販売実績がないと時間はかかる

お客様から日本でも認知度の低い商品の在庫を中国で売り切りたいと話をされるが、それはなかなか厳しいのが現状。
ただし、ランディングページや受注のチャット部隊などをうまく活かすことができれば実績を作ることは可能で、我々も認知度の高くない商品を中国ネットユーザー向けに多く販売し、実績を作っている。

誤解3:広告費が高すぎて、利益が確保できない
真実3:tmallグローバルなどの越境型ECであれば、現状は広告の費用効果は高く、利益も十分狙うことは可能

たしかにこれまでのモール(tmallや京東)であれば、広告費は日本と比較にならないほど高額だった。
実際に年間売上予算と同等の金額を広告費にかけている 企業もあり、撤退を余儀なくされる場合も多い。
ただし、tmallグローバルで提示されている現在の広告施策は比較的費用効果が高く、十分利益構造を構築す ることは可能となっている。

誤解4:売り上げの代金回収ができない
真実4:レギュラー時であればすべて回収可能

現在、中国ECでは、決済に関してはかなりしっかりと仕組み化されている。
例えば、tmallであればアリペイがエスクローサービス(商取引の際に、信頼の置ける第三者を仲介させて、取引の目的を担保すること)の機能を担っており、代金回収はほぼ問題ない。

アリペイのエスクローサービス

▲アリペイのエスクローサービス

誤解5:物流が整っておらず、商品が届かない
真実5:基本的に商品は数日で確実に到着

中国の物流は北京オリンピック以降整備され、現在では上海など都市圏であれば日本から3日以内には到着する。
ただし、破損などの物流トラブルは多く、ダンボールなども2重にするなどかなりの注意が必要である。

以上、中国EC5つの噂話として今回はご紹介したが中国ECを必ずやるべきだということはなくいち経営者として正しい情報の中で、事業判断をしてほしいということをお伝えできていれば、嬉しい限りである。

※この記事は(株)インプレス様のネットショップ担当者フォーラムに掲載したものを許可を得て掲載しています。
元記事:中国でのEC展開を妨げる5つの誤解

著者:高岡 正人

株式会社エフカフェ 取締役

1975年生まれ。立命館大学政策科学部卒。コンサルティングファームにて企業変革コンサルティングを経て、2005年有限会社フリースタイルカフェ(現エフカフェ)の創業に参画。取締役に就任。

日本、中国、ASEANでネット通販事業に特化したコンサルティング、運営支援を行い、1カ月の半分を中国・上海で過ごす。

銀行等での講演多数。また日経ネットマーケティング等で執筆。最近では銀行等の海外支援事業部と連携し、日本からアジアへのネット通販進出を支援している。


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